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October 30, 2004

できること。

新潟中越地震で、とても深刻な被害が出ている。

寒くて、怖くて、眠れない。
食べるものがない。

そして、何度も起こる余震に
心までもが揺れて、震えがとまらない。

生まれたばかりの赤ちゃんを抱えた人。
たくさんの人でごった返す、冷え切った体育館。
危険を承知しながらも、車で生活するしかない家族。

どんなに、寒いだろう。
どんなに、心細いだろう。
どんなに、疲れているだろう。

連日の過酷な状況を知るにつけ、
私の心も揺れて、震え続けている。

何ができるだろう。
何をやらなくてはいけないだろう。

地震が起こってから、考え続けていた。

そして、こう思った。
私ができるのは、自分のことばを書き続けること。
そのことばを通じて、この地震について考えてもらうこと。

それが、本当に被災者の方々に届くかどうかは、分からない。
けれども、私は唯一自分にできることを、精いっぱいやるしかない。

そして、「ある日 ここから」を書き上げた。

あの地震の中で、たくさんの命が失われたこと。
それでも、ちいさくても光る、命のともしびが消えなかったこと。

そんなことを思いながら、書いたことば。

どうか、みんなのところへ、届きますように。

+++ 日本赤十字社 新潟県中越地震災害義援金+++

そして、いつもあたたかな英語俳句を書いている『English Haiku』さんの
お知らせを読ませてもらって、共感しました。

でも、私は書き続けることが、自分なりにできることのひとつだと考えました。
何にせよ、どんな形にせよ、思いを形にして届けていくことがたいせつだと。

たとえ、宛先が決まっていないとしても。
人々の手に届くまでに、とても時間がかかるとしても。

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ある日 ここから

ある日 ここから
だれかが いなくなる
ひっそりと 穏やかな退場

本のページからひとつ
文字がなくなるように

ケーキからひとつ
苺が減るように

空からひとつ
雲が消えるように

いなくなってしまう だれか

だれかを思う人たちは
分厚い事典のように
しぼんだシュークリームのように
雨を降らせる黒雲のように 悲しむ

けれども 他の人たちには わからない

本のどこの文字が
なくなっているのか

ケーキの苺が
いくつあったか

空の雲が
どんな形だったか

それでも 人はみんな
それぞれの たいせつな
本を読み ケーキを食べ 雲を眺める

ある日 ここには
だれかが やってくる
ゆったりと 目覚めるような入場

本のページにひとつ
文字が足されるように

ケーキにひとつ
苺が増えるように

空にひとつ
雲がうまれるように

やってきてくれる だれか

だれかを見つけた人たちは
なつかしい絵本のように
焼きたてのクッキーのように
青空を渡る飛行機雲のように 喜ぶ

そうして 他の人たちにも わかる

本に書かれた
はてしない物語

口に広がる
ケーキの甘さ

空に描かれた
雲たちの絵画

だから

本を広げよう
ケーキを囲もう
雲を見上げよう

ここに そこに
あなたの中にいる
だれかのために


 

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短歌:恋24

☆歩道橋 渡ったような恋だった眺めがよくて でも安全で(小野伊都子)

※枡野さん、再びごめんなさい。
 「恋22」と同じく、投稿できないのにトラックバックしてしまいました。
 
 ↓こんな風に書いていたのに、何故かトラックバックURLが入っていたのです。
 お手数ですが、この短歌も投稿取り消しとしてください。よろしくお願いします。

+++++++++++++++++++++++++++++++++++

 この短歌は、実は無謀にも、『角川短歌賞』に応募したうちのひとつ。

 そのため、『枡野浩一のかんたん短歌blog』には、トラックバック投稿できません。

 思えば、あの頃は文語と口語、どちらでも短歌をつくっていて、
 自分でも「ぎくしゃくしているなあ」と思っていました。

 枡野さんに出会って、口語で詠むことが楽しくて楽しくて。
 文語も、それなりのよさはありますが、しばしば「酔ってしまう」という弱点も。

 今のあたしには、やっぱり口語がしっくりきます。
 スーツじゃなくて、Tシャツみたいに。

でも僕は口語で行くよ 単調な語尾の砂漠に立ちすくんでも(枡野浩一)

 枡野さん、ありがとう。

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短歌:恋23

☆「とまります」ボタンが赤く点るとき降りたくなった恋もあったよ(小野伊都子)

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短歌:恋22

ごめんなさい、枡野さん。うっかりしていて、投稿できない歌を投稿してしまいました。

☆あなたとの恋に栞がはさまれて貸し出し中のままで過ぎてく(小野伊都子)

 枡野さん、ごめんなさい。トラックバックしてはいけない歌を、投稿してしまいました。
 というのも、この短歌は無謀にも、『第47回角川短歌賞』に応募したうちのひとつ。
 そのため、『枡野浩一のかんたん短歌blog』には、トラックバック投稿できません。

  なのにうっかり、投稿してしまいました。すみませんが、投稿取り消しとしてください。

  それから、風邪はだいじょうぶですか?
  早く完治しますように。

  何かをあきらめても、また何かがふと手の中にある。
  枡野さんは、そういう方だと信じています。

  これからも、各方面でのご活躍、楽しみにしています。

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短歌:恋21

☆この恋に栞はさんで閉じておこう いつか読む日が来ると信じて(小野伊都子)

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短歌:恋20

☆金木犀みたいなひみつの恋をして甘い香りを漂わせてた(小野伊都子)

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短歌:恋19

☆材料はたくさんあるのにカレーしか作れなかったというような恋(小野伊都子)

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短歌:恋18

☆雨が降っていることを言い訳にして今日も失恋休暇をとった(小野伊都子)

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短歌:恋17

☆昨日まで気づかなかった四つ葉にも目がとまったらそれは恋です(小野伊都子)

保育園に向かう、朝の忙しいひととき。

ベビーカーを押すというよりも、走らせるような感じで、
団地の中にある、グラウンドを駆け抜けていく。

秋風を頬に受けながら、4歳のヒナと小走りしていたとき。
ふっと、何かに呼び止められた気がした。

「あっ!四つ葉のクローバー!!」

ほんの少しだけ生えている、クローバーの中に
きらっと光っているような、四つの葉っぱを見つけた。

うれしくて、ヒナと手に取って、手帳にはさんでおいた。
それは、月曜日。週のはじめから、いいことありそう。

そして、木曜日の帰り道。
少し離れた場所で、また四つ葉を見つけた。

見つけただけで、しあわせになれる、不思議なしるし。
それは、恋する自分に気づいたときみたい。

このしあわせが、みんなのもとにも
どうかどうか、届きますように☆

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October 23, 2004

短歌:恋16

☆ぶかぶかのジャケット貸してくれたひと恋しないではいられない夜(小野伊都子)

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短歌:恋15

☆いつのまに切れてたんだろう しみてから気づく傷口みたいな恋だ(小野伊都子)

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短歌:恋14

☆坂道を転がるように恋をして登っていけば君はいなくて(小野伊都子)

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短歌:恋13

☆ささくれをめくるのに似た勢いで恋する自分むきだしにする(小野伊都子)

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短歌:恋12

☆カスタードクリームみたいな月を見て恋のケーキを焼き上げていた(小野伊都子)

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短歌:恋11

☆寄り道をすることが好きになっていく恋はおまけのほうが楽しい(小野伊都子)

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October 12, 2004

photo cafe:呼吸する写真。

photo cafe

yumiちゃんの写真は、いつも呼吸している。
心地よいリズムで、安らかに、自分のペースで。

だから、私もそれにあわせて
いつしか、心地よい呼吸をしている。

まるで、ラジオの周波数のように、
ぴたっと彼女の写真の世界に入りこめた時
永遠に触れたような、そんな気がする。

写真は、一瞬を切り取ったものなのに、
そこには、永遠が息づいている。

風に終わりがないように
星が数えきれないように
波が寄せては返すように

彼女のレンズは、曇ることを知らない。

呼吸する写真。

秋の凛とした空気の中で、
その息づかいに、耳を澄ませたい。

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October 10, 2004

短歌:恋10

*背景に薔薇をしょってる気になった恋の漫画が描かれていく(小野伊都子)

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短歌:恋9

*何枚も何枚も書くだけどまだ恋の速度に追いつけなくて(小野伊都子)

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短歌:恋8

*少しずつ恋捨てました囚人が秘密の穴を隠すみたいに(小野伊都子)

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短歌:恋7

*高速に乗ればそれだけ遠回り恋はまっすぐ走りはしない(小野伊都子)

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短歌:恋6

*号外を書いて配るのあなただけ史上最大の恋の終わりに(小野伊都子)

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短歌:恋5

*二度寝して見た夢のような淡い恋もうあのバスは出てしまった(小野伊都子)

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短歌:恋4

*あのひとのトリビアならばいくつでも知ってるそれが恋ってもんだ(小野伊都子)

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短歌:恋3

*この右に見えます古い聖堂はたくさんの恋が眠っております(小野伊都子)

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短歌:恋2

*綿菓子のように明日には溶けていく恋食べているべたべたの手で(小野伊都子)

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短歌:恋1

*生後3ヶ月の恋が寝返りを打って転がる月夜の原っぱ(小野伊都子)

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短歌:旅

NHKの番組「眠れない夜はケータイ短歌」

前回のテーマは、「旅」。
思うような歌がつくれずに、苦戦。

でも、ここで投稿歌を記録しておこうと思う。

次回の放送(11月20日22:00~24:00)へ向けて、
ちょっとした反省の意味もこめて。

*この街にもう10年も暮らしてるでもまだきっと旅の途中だ
*一本の映画はひとつの旅でありポップコーンはオプションである
*終わらない旅はないって言っていたあなたが見てた最後のニュース
*手に入れるためだけじゃなく捨てるため僕らは今日も旅に出るのだ
*手を振った先にあるのは今であり明日でもあるバスに乗りこむ
*屋上はいちばん近い旅行先 空のページは開いたままだ
*いつまでも答えの出ない宿題に取りかかるためこのバスに乗る
*とりあえず明日の香りのするほうへアゲハみたいにふわりと飛んで(ふかわりょう選・次点)

今度は、またTV&ラジオの同時放送の予定。
どうか枡野さん、出演されますように。

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敗者復活。

まだまだ、ミックスジュースの日々は続いております。

10月は勤務先で異動があって、バタバタしているので、
何だか心も身体も、ちょっと疲れている感じ。

ちっとも起きていられなくて、まったくパソコンを開けない日々が
続いていたので、遊びにきてくれた方々、ごめんなさい。

+++++++++++++++++++++++++++++++++++

さて、久々にネットに復活した日、投稿できなかった
枡野浩一さんのかんたん短歌blogを覗いてみた。

   私が考える「面白い短歌」は、だいたい次の3種類に分類できます。
   A.みんなが知っていることをみんなが知らない言い方で切り取り、その言
  い方が意外でありながら説得力があり、読者をハッとさせる歌。
   B.みんなが知っていることをみんなが知っている言い方で切り取り、その
  当たり前すぎるところが逆に新鮮で、読者をハッとさせる歌。
   C.作者個人の感覚をワガママな言い方で切り取り、作者ならではのコダ
  ワリがなんとなく伝わってきて、よくわからないなりに気になってしまう歌。
   ……最後のCが、いわゆる歌壇でほめられる歌であるように私には感じら
  れてしまうのですが、そういう歌を味わうには読み手の側に「読む技術」が必
  要です。私は「読む技術がある人にだけ読まれればいい」という意識が苦手
  なので、もっぱらAやBの歌をつくっています。
   柴田有理さんの歌はCっぽいけど、ちょっとサービス精神も感じるから(A
  の要素もあるから)、不快な気持ちになりません。

  *

  今週の講評は以上。
  「恋」みたいなベタなお題だと、甘い歌ばかり届いてしまって、難しいですね……。
  次週に期待します。

と、柴田有理さんの一首だけを選んだ枡野さん。
 
なるほど。詩を書くことからスタートしている私には、とても耳が痛い。
それにしても、こんなに分かりやすい講評は、枡野さんしか書けないのでは?

この講評を読んで、なおかつ枡野さんをうならせる短歌をつくるのは、
本当にむつかしいな~と思っていたら、その後に
「ドラえもん短歌」のことも書かれていて、

    あと、以前投稿されたものの中から「敗者復活」で、次の2首を拾いました。


   ドラえもんシールを君が貼ったから楽器ケースはあの頃のまま (平賀谷友里)

    これは〈ドラえもんシール〉というところが熟語なんですね。〈ドラえもんのシ
   ール〉と書いたほうが誤読が減るかも。

   10階の窓を叩いて呼びに来るタケコプター友達が欲しい (小野伊都子)

    これも〈タケコプター友達〉が熟語なんですね。
    この場合はカギカッコでくくって
    〈「タケコプター友達」が欲しい〉
    と書くくらい親切でもいいかも。

「敗者復活」!!投稿しはじめた4月から、
半年目にしてようやく枡野さんに選んでいただけました!!
「敗者復活」という制度を考えてくれた、誰かに、ありがとう。

そして、もうひとつ、「敗者復活」といえそうなことがありました。

今年のバレンタインの頃に、短歌を通じてお知り合いになった方から
五行歌のおもしろさを教わって、必死にいくつかつくってみました。
そして無謀にも、第四回「恋の五行歌」募集に応募。

結果はもちろん、ダメ。
受賞作品を拝見して、その素晴らしさ、深さに
ほうっと感嘆のため息をついているばかりだったのですが、
なんと!!その公募作品から受賞作品を含む350首を集めた
「恋の五行歌 わくわく350」(市井社)という本に載せていただくことができました。

はじめて連絡をいただいた時には、ほんとうに!?と驚いたのですが、
ほんとうにほんとうに、載せていただいていました。ありがとうございます!!

ちなみに、リンクさせていただいている海の空こさんは、準大賞に輝いた歌以外にも、
とってもたくさんの歌が掲載されています。どの歌もすてきです。

敗者復活。
このうれしい「おまけ」をきっかけにして、
また新しい歌をつくっていけたら・・・と思っています。

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October 09, 2004

映画:『アイデン&ティティ』

『アイデン&ティティ』2004.10.3.Dim.(DVD)

*原作/みうらじゅん *監督/田口トモロヲ *脚本/宮藤官九郎

*出演/峯田和伸麻生久美子中村獅童大森南朋
     マギー岸部四郎

自分が自分であること。
他の誰とも違うこと。

どんなことを言われても、
おかまいなしで、走っていけること。

道が平らじゃなくたって。
ゴールがなくたって。
ごほうびがなくたって。

自分という相棒を、
はっきり信じられると思ったとき。

そばには、ROCKがあった。

なのに、いつから忘れてしまった?
信じられなくなってしまった?
ほんとうのことが見えなくなってしまった?
走るのをやめてしまった?

ディランのブルースハープの調べのように、
風に乗って聴こえてくる、ほんとうのこと。

アイデン&ティティは、離れてても、いっしょ。
アイデン&ティティは、遠くても、届く。
アイデン&ティティは、地図を持たない。

走り続けるだけ。

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