May 18, 2005

映画:『花とアリス』

 『花とアリス』

*監督・脚本・音楽/岩井俊二 

*出演/鈴木杏、蒼井優、郭智博、相田翔子、阿部寛、
     平泉成、木村多江、大沢たかお、広末涼子


時間には、いろんな手触りがある。

井戸水みたいに、さらっとしている時間。

蔦みたいに、あちこちへ伸びてからまっている時間。

錆びついた時計のゼンマイを巻くような時間。

15歳の女の子がふたりいたら、きっとふたりの周りには、
とろんとしたハチミツみたいな時間が流れている。


なんとなく臆病で、本当の自分が出せない<花>と、
しっかりしすぎて、弱音を吐けない<アリス>。

道でいうなら、<花>の道はまっすぐで、
<アリス>の道は、くねくね道。

直線の最短コースを行こうとする<花>を、
寄り道させようと誘う<アリス>。

ふたりの周りには、間違いなく懐かしい甘さの
ハチミツみたいな時間が流れている。

その甘さは、恋する相手を溺れさせるようなもの。
蟻は、蜜の中で溺れて、這いあがれない。

気がつかないうちに、自分たちの中に
甘い蜜をためていた少女たちは、
相手がなぜ苦しそうなのか、分からない。

だから、自分たちで呼び寄せたはずの蟻が
動かなくなっても、また新しい道を歩いていく。

甘さを増した蜜をためながら、
バレエのステップで。

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